我が子が幼稚園で仲間はずれにされていることを知ったら、心配で心配で仕方ないですよね。
「子供には寂しい思いをさせたくない」
「辛い気持ちになって欲しくない」
と思うのは親として普通の感情です。
しかし実際は、幼稚園などの集団生活の中に入ると友達関係のいざこざなどは数え切れないほど起こります。
自我が芽生える年頃ですから当たり前のことですよね。
トラブルを乗り越えるのが子供の試練であれば、それを見守るのが親にとっての試練です。
わたしが保育の仕事にたずさわった10年間、いろいろなパターンのトラブルをみてきました。
今回は「仲間はずれ」に焦点を当てて原因や年齢別の対応の仕方など、専門的な視点も踏まえて説明していきたいと思います。
仲間はずれにされる方にも原因がある?
仲間はずれにしている子に聞くと、「だって…」と原因を話すことがほとんどです。
どうやら仲間はずれにしている子にも理由があるようです。
中には本人に仲間はずれにしている意識がない場合もあるんですよ。
それではどんな原因があるんでしょうか?
いままで見てきた仲間はずれの原因の具体例を挙げていきます。
- 今は違う子と遊びたいのにしつこく誘ってくる
- 遊びの中で自分の意思ばかりを主張する
- やりたくない遊びを提案された
- 原因はなくちょっとした意地悪な気持ち
大人からすれば「そんなこと…」と思うような原因ばかりですが、子供は友達付き合いがまだ上手くないので、楽しく遊びたい一心で「仲間はずれ」という手段を使うんですね。
そして仲間はずれにしている側とされている側の受け取り方の違いが起きている可能性もあります。
仲間はずれにされる側にも原因があるとはいっても、本人に悪気がないことがほとんどですので、必要以上にお子さんを責めないようにしてくださいね。
男の子と女の子で対策が違う?
男の子と女の子では対策は変わってきます。
全員が当てはまるとは限りませんが、男の子はわりとあっさりしている子が多いため、原因を改善できるよう働きかけてあげれば大抵のトラブルはすぐに解決できます。
反対に女の子は、友達関係が複雑な場合が多く、仲間はずれにする側される側双方にフォローする必要があります。
それでは具体的に男の子と女の子にはどんな違いがあるのでしょうか?
男の子への対策
仲間はずれの理由が、
「提案された遊びはしたくないから」
など、具体的ではっきりしていることが多いので解決しやすい傾向にある。
仲間はずれにされた子も、解決して仲間に入れたり気持ちを切り替えて、違う遊びに参加をすれば嫌な気持ちが長引くことは少ない。
女の子への対策
男の子に対して仲間はずれの理由は複雑。
過去のいざこざが後を引いていたり、
「なんとなく嫌だから」
「◯◯ちゃんは楽しくないから」
など、対策のしづらい理由を言うことがあり、仲間はずれにされた子が傷ついてしまうパターンが多い。
こういった場合は、仲間はずれにされた側に違う子と遊ぶように促したり、仲間はずれにした子とよく話し、原因の深掘りをして対策を考える必要がある。
このように、男の子と女の子では対策にかなりの差があります。
年中組くらいから男女の性質の差が見られるので、お子さんの年齢によって対策を変えていくといいでしょう。
詳しくは次の項目でお話ししますね。
年齢によって仲間外れのやり方や対策が違う?
男女差だけでなく、年齢によっても仲間はずれのやり方や対策が違ってきます。
「年少組」はまだ本能的。
「年中組」から友達関係は一気に複雑に。大人の目を盗み、巧妙に仲間はずれをするようになる可能性も。
「年長組」でも油断はできないが、自分の気持ちを表現する力がつくので自分たちで解決できるようになってきます。
それぞれの年齢の特徴と対策のポイントはこちらです。
年少組
まだ友達と関わるよりも個人でやりたい遊びをする子が多いので、おもちゃの取り合いなどの単純なトラブルが中心。
友達を仲間はずれにするようなトラブルは起きないことがほとんどです。
年中組
だんだんと「友達と遊ぶ」というスタンスが増えてくる時期。
しかしまだ気持ちの譲り合いが難しく自己主張のぶつかり合いが頻繁なので、仲間はずれなどのトラブルがでてくるようになってきます。
知恵もつき、精神的にグッと成長する年齢なので、友達関係が複雑化しやすく陰湿な仲間はずれが起きる場合も。
大人が介入し、友達との関わり方を教える大切な時期です。
しっかりと向き合ってトラブルを丁寧に解決する必要があります。
年長組
友達関係は引き続き複雑ですが、だんだんと「一緒にいて居心地のいい友達」が固定されてくる時期です。
時々起きるトラブルも、自分の気持ちをうまく言葉で表現できるようになってきているので、自分たちで解決をしたり、先生や親に対しての説明も的確にできるようになります。
一気に解決しやすくなりますよ。
年齢によって仲間はずれのやり方や対策はかなり変わってくることがわかりました。
特に注意したいのは「年中組」です。
大人がしっかりフォローしたいですね。
先生はどんな対応をしているの?トラブルに対応する先生の本音は?
園の先生たちは、トラブルを把握したら双方からよく話を聞いて、友達との付き合い方を示していきます。
仲間はずれにした側を叱ることはせず、仲間はずれにしてしまった理由を一度肯定し、どうしたらいいのかを教えていきます。
幼稚園は人間関係の練習の場。
色々なトラブルを経験してこそ意味があります。それが集団生活の醍醐味でもあります。
先生たちは解決だけを目的にせず、
- 仲間はずれにしてしまった気持ち
- 仲間はずれにされた気持ち
- これからどうしたら仲直りできるか
を子供と一緒に考えることを大切にしています。
「仲間はずれ」=「いじめ」
ではなく、「人間関係の練習をしている」と思えば、少しは心配するお家の人も気持ちが楽になりませんか?
先生は中立の立場になり、子供と一緒に解決策を考えているので安心して大丈夫ですよ!
しかしいくら先生であっても、根本的に完全に解決するのは難しいのが事実です。
小さな子供であっても1人の人間であって、それぞれ性格が合う合わないはあるものです。
幼稚園での狭い世界で、全員と仲良くするのは無理がありますよね。
先生たちはそのこともよく理解しています。
そういった場合は、それぞれ気の合いそうな友達と遊ぶように示したり、なるべく1人の子に固執しないよう、いろんな友達と関われるように環境づくりをしているんですよ。
むしろ不安なのは「保護者の関係」なんですね。
子供同士は先生が仲介することで状況を変えていくことができますが、仲間はずれをした側、された側それぞれの保護者の気持ちがぶつかってしまうと、それが子供に悪影響になってしまいます。
子供は大人よりも気持ちの切り替えが上手。
心配しすぎると逆効果になることを覚えておきましょう。
我が子が仲間はずれにされているのが分かっても、相手の保護者とぶつからないように気をつけることが子供にとって一番いいんですよ。
まとめ
我が子がお友達とうまく遊べているのか…子育ての悩みの中でもっとも心配になることの一つですよね。
大人は人間関係がこじれると大変だということを知っているので余計に心配になります。
しかし、子供はいくらでも柔軟に考え方を変えることができます。
そして、それを正しく導くために先生たちがいます。
先生たちは、男女の差や年齢別の対応の仕方など専門的な知識をもって子供に接してくれますので、安心して任せて大丈夫ですよ。
心配するがあまり、相手の保護者とトラブルを起こさないようにだけは気をつけてくださいね。
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