幼稚園内での「噛みつき」実例集|先生のトラブル対応

噛みつくという行為、とても動物本能的な行為だと思いませんか?

わたしが保育園、幼稚園で10年間働いていた時にみた様子でいうと、1歳半から4歳近くの子供に「噛みつく」という行為がみられました。

ピークは1歳半から2歳半にかけてです。

その頃の子供が、理性よりも本能で生きていることがよくわかりますね。

 

理性は社会の中で育ちます。

保育園も幼稚園も子供たちにとっては社会への第一歩です。入園することで理性を育てるいい機会になるでしょう。

噛みつき癖のあるお子さんを育てているお家の人は、よその子を傷つけてしまう我が子に頭を抱えているのではないでしょうか。

 

でも大丈夫!

対応を間違えなければ必ず噛みつきはおさまります。

 

今回はわたしが幼稚園で実際に経験した噛みつきトラブルとその対応を紹介します。

目次

「お友達に興味があるの」気を引きたくて噛みついたAちゃん

幼稚園の自由遊びの時間、Aちゃんが突然Dちゃんに噛みつきました。

おもちゃの取り合いや仲間はずれがあった訳ではありません。Dちゃんも噛みつかれた理由が分からず、原因は分からないまま。Aちゃんに聞いてもうまく話せず泣くだけでした。

後日注意して目を配っていると、再び噛みつこうとしたので慌てて止めに入りました。

その時、Dちゃんはお友達と仲良くお絵かきをしていました。そこにAちゃんがクレヨンを持って近づきDちゃんに噛み付こうとしたのです。

 

その様子から、どうやら「AちゃんはDちゃんと遊びたい」ということがわかりました。

Dちゃんの気を引きたくて噛みついたようです。

Aちゃんへの対応

まずはAちゃんに「Dちゃんと遊びたいんだよね?」と問いかけました。すると「うん」と頷きます。

「そういう時は、噛むんじゃなくて、あそぼう!と声をかけるんだよ」というと、Aちゃんは素直にそう言います。

Dちゃんも快く受け入れてくれました。Aちゃんも満足そうです。

 

その後もAちゃんは遊びたい友達をジッと見ているだけで、なかなか声をかけられないことが続きました。

そのたびに先生が誘い一緒に声をかけに行くことで、噛みつかずに言葉で伝えられるようになりました。

 

Aちゃんの実例まとめ

Aちゃんは言葉の発達がゆっくりな傾向にありました。

自分の気持ちや想いをうまく言葉にできなかったんですね。

そのもどかしさから噛みついてしまったようです。

 

このようなパターンのお子さんには、友達と過ごす中でコミュニケーションがスムーズになる言葉を繰り返し伝えていく必要があります。

  • 「入れて」
  • 「かして」
  • 「あそぼう」

などです。

また、「遊びたかったね」「使いたかったよね」など、本人の気持ちを代弁することも大切ですよ。

 

「自分でやりたかったの」お手伝いをしてくれた年長さんに噛みついたBくん

Bくんはおしゃべり上手な男の子。幼稚園に入園して張り切っていました。

年少組には1学期の間、年長組のお兄さんお姉さんがお手伝いにきてくれて、身の回りのお世話をしてくれることになっています。

 

そんなある日、Bくんが年長のお兄さんを噛んでしまいました。

周りの年長組の子供によると、Bくんは繰り返し「自分でやる!」と言っていたのですが、責任感の強いお兄さんが、あれこれ手出しをしていた様子。

ついにBくんは噛みついて抵抗してしまったのでした。

 

Bくんへの対応

まずはBくんに、

「自分でやりたかったよね、できるもんね」

と声をかけました。

Bくんは泣きながら頷きます。

 

続けて、

「でも噛みつくのはいけないよね、お兄さん痛かったみたいだよ」

と声をかけます。

 

するとBくんはお兄さんに、

「ごめんね」

と謝りました。

 

次に噛まれてしまったお兄さんに、

「お手伝いしてくれてありがとう。噛まれて痛かったよね。Bくんは自分でやりたかったんだって」

と声をかけました。

 

するとお兄さんも、

「しつこくしちゃったからか、噛まれたのは大丈夫!僕もごめんね」

と謝りました。

 

二人ともとても素直でいい子です。

その後お兄さんはBくんに対して見守るようになり、Bくんも噛むことはありませんでした。

 

Bくんの実例まとめ

お手伝いしてあげたいお兄さんの気持ちも、自分でやりたいのに手出しをされてしまうBくんの気持ちも痛いほどよく分かりますね。

だからといって、噛んでしまったBくんの行動は褒められたものではありません。

いけないことはしっかりと伝えます。

ポイントは叱らないこと。「噛むことはいけないこと」だという事実を伝えるだけで充分なんです。本人も納得して素直に謝ることができました。

 

そして手出しをしすぎてしまったお兄さんに対しては、Bくんの代わりに気持ちを伝えました。

気持ちを代弁して伝えてもらったことでBくんは気持ちが満たされたようでした。

 

子供同士だと、それぞれの思いが伝わりにくい場面が多々あります。

そんな時は大人が仲裁してあげることが必要なんですね。

 

「やめて欲しかったの」ちょっかいを出されて噛みついたCくん

遊んでいる時にお友達に噛み付いてしまったCくん。これで3度目です。

噛みつかれる子はいつも同じで、必ず先生のいないところで起こります。

 

子供たちに理由を聞いても、お互いの言っていることが一致しません。

他の先生にも協力してもらい、わたしは見ていないふり。他の先生には隠れてこっそりと様子を見てもらいました。

普段はとても仲良しな二人ですが、遊んでいるうちにだんだんとお友達がCくんに対してちょっかいを出し始めました。

最初は「やめて」「やだ」と言葉で伝えていたCくんでしたが、そのうちに噛み付こうとしてしまいました。

 

Cくんへの対応

お友達はあえて先生の見ていないところでCくんにちょっかいを出している様子でした。

つまり、ちょっかいを出すことがいけないことだと分かっていてやっているということです。

なのでまずはお友達に、Cくんの嫌がっていることをしないように伝えました。

そのあとに、Cくんの「ちょっかいを出されていやだった」という気持ちに寄り添います。

そして「嫌なことをされたら噛むのではなく、先生に相談してほしいこと」を伝えました。

 

Cくんの実例まとめ

この実例は「お互い様」といえますね。

このようにケンカの延長で噛みついてしまう子も中にはいます。

噛み付く行為だけが悪いのではなく、なぜ噛みついたのかを明らかにして、時にはその原因を作った相手を先に指導する必要があるんですね。

どうしても「噛みついた」という事実だけに目を向けて叱ってしまいがちですが、大人が状況をしっかりと把握して子供に正しい対応の仕方を教えていくことも大切です。

 

まとめ

今回紹介した3つの実例でもそうでしたが、噛みつきは「噛む子」と「噛まれる子」が同じ場合が多いんです。

それはつまり、なにかしら「噛む理由」「噛まれる理由」があるということ。

「うちの子は噛み付くから悪い子だ」と決めつけないようにしましょうね。

 

噛む理由が知りたかったら、前後の様子をよく観察し、その子の気持ちを想像してみましょう。

そして想像して思いついたことを、一つずつ言葉にして子供に確認してみてください。

「おもちゃ使いたかったのかな?」

「お友達ともっと遊びたかったのかな?」

と寄り添う言葉がけができるといいですね。

その中からしっくりくる言葉を自分の気持ちとして、子供は学んでいきます。

 

ただ叱るだけでは解決しません。

むしろ、叱ってしまうことで自分の気持ちをさらに表現できない子供になってしまいます。

噛み癖をなくしたいのであれば、子供と向き合い「なぜ噛んでしまうのか」に注目してみてくださいね。

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