「子供の噛みつき癖やひっかき癖は成長の過程」といわれるように、1~3歳の子供がお友達を噛んでしまったりひっかいてしまうことは本当によくあること。
わたしは保育園、幼稚園合わせて13年働いていたんですが、その間にも数えきれないほどトラブルがありました。
そんな中、保護者からの質問が多かったのがトラブルがあった場合の園での対応についてでした。
保護者としては、我が子がトラブルに関わっていたのなら詳しく話を聞きたいところですよね。
しかし園側はあまり詳しく保護者にお話ししないことが多いんです。
一見「隠し事!?」と疑われてしまいそうですが、そうではありません。そこにはきちんとした理由があります。
今回は園の対応の仕方と、その理由を包み隠さずお話しします。
噛みつきやひっかきが学びのチャンス? 先生たちの対応
まずは噛みつき癖ひっかき癖のある子供に対しての先生たちの対応についてです。
噛みつき癖やひっかき癖がみられる子に対し、先生たちは普段から目を配り未然に防げるように配慮しています。
未然に防ぐことで、誰も傷つかずに、子供同士のやりとりを学ぶいい機会を作ることができるからです。
どういうことかというと、噛みついたりひっかいたりしてしまう子供は「言葉がまだうまく使えず気持ちを伝えられないもどかしさを感じている」ことが多いんですね。
おもちゃの取り合いなどで思い通りにならず、手が出てしまいそうな時ほど、お友達に自分の気持ちをどう伝えたらいいのかを学ぶチャンスなんです。
すかさず先生が間に入り、気持ちを代弁することで子供は言葉での伝え方を覚えていきます。
先生たちはしっかりと目を配り、子供の学びのチャンスを逃しません。
噛みつきやひっかきを止めるだけでなく、前後のやりとりを見守り、子供同士が正しく気持ちを伝え合えるよう指導しているんですね。
未然に防げないときも…。噛んだ、噛まれた子供への対応は?
とはいえ、一瞬の出来事で噛みつきやひっかきを防げない時があるのも事実。
先程「言葉がまだうまく使えないことが理由で手が出てしまう」とお話ししましたが、実は少なからず「そこにお友達の腕があったからなんとなく噛んでしまった」というパターンもあるんです。
もし噛みつきやひっかきが起きてしまったら、先生たちはどうしているのでしょうか?
やられてしまった子、やってしまった子、それぞれへの対応の仕方を詳しくお伝えしていきます。
噛まれた、ひっかかれた子供への対応
ケガの度合いにより、消毒をしたり、氷水で冷やし、アザや腫れを悪化させないように対応します。
ケガの手当ての後、状況をできる限り子供の言葉で聞き、痛かったり、嫌だった気持ちを先生が言葉にしながら気持ちに寄り添います。
噛まれた子にもいけないところがあった場合は正しく指導します。
噛んだ、ひっかいた子供への対応
手を出してしまった時の状況をできる限り子供の言葉で聞き、先生が整理して言葉にしながら気持ちに寄り添います。
手を出すことはいけないことであると伝え、次からはどうしたら良いのかを指導します。
さらに一度手を出してしまった子供は先生たちの中で伝え合い、二度と起こらないようにさらに気を配るようにします。
このように、噛みつきを防げなかった時にはそれぞれに適切な対応をすることで、同じことが起こらないように気をつけていきます。
トラブルが起きてしまうと先生たちもとてもショック。
反省しつつさらに身を引き締める気持ちで保育に取り組んでいるんですよ。
噛まれてしまった子の保護者への園の対応とは?
次はいよいよお家の人に対する対応の仕方についてです。
私が働いていた園のマニュアルにそってお話ししていきたいと思います。
働いていた保育園、幼稚園どちらとも同じような対応の仕方だったので、ほとんどの園が同じなんじゃないかと思います。参考にしてみてください。
噛まれた子の親に対し、噛んだ子の名前は教えない
噛まれてしまった子の保護者には、必ず状況の説明と怪我の具合、どう対応したのかを説明した上で謝罪をします。
かわいいお子さんに怪我をさせてしまうことは預かる以上あってはならないことですので、心を込めて謝罪をしていました。
その際に、噛んでしまった子の名前は言わないことになっています。
あくまで「お友達」とお伝えしていました。
「噛んだお友達の名前を知りたい!」
というお家の人もいましたが、例外を除いて言わない決まりになっているんです。
なぜ名前を言わないかというと、園内でのトラブルは基本的には園内の責任であるから。
怪我をさせてしまったのは、未然に防げなかった園側の責任だということで、園の方から謝罪をすることになっているんですね。
また、相手の名前を出さないことは、保護者同士のトラブルを防ぐ目的でもあります。
かわいい子供がケガをしているのを見ると、我が子を傷つけた子供がどの子か知っておきたいという気持ちになってしまうかもしれませんが、1度や2度の場合は園側の意図もあるのでそこはグッと我慢しましょう。
というように、噛まれてしまった子の保護者には、状況を詳しく話した上で、怪我をさせてしまったことに対しての「園側から謝罪をする」ことになっていました。
噛んでしまった子の保護者への園の対応
噛んでしまったことを保護者に伝えない
噛んでしまったことは基本的にはお家の人には伝えていませんでした。
早々に伝えてしまうと、お家の人が気にしてしまい、子供に過剰に注意してしまうことがあるためです。
最初の見出しでもお話ししましたが、手を出してしまった場合「学びの機会」として先生がしっかりと対応します。
そこでさらにお家の人の注意が加わると子供が混乱して学びの機会を逃してしまう可能性があるんですね。
また、保護者同士のトラブルを避けるためでもあります。
噛みつきはいけないことですが、成長過程でもあり、その過程から多くのことを学べます。
園ではその機会を生かし、しっかりと子供にいけないことを教えていますので、安心してお子さんを預けてくださいね。
しかし例外もあり、噛んでしまったことをお家の人にお伝えすることもあります。
その例外とは、
噛みつきやひっかきを何度も繰り返す場合、
同じ子を何度も繰り返し噛んでしまい、相手の保護者に名前を伝えざる得なくなった場合です。
なかなか噛みつきやひっかきが治らない場合には、繰り返し根気強く伝えていくことが大切です。
園と家庭が協力して伝えることで子供に理解させる必要がでてくるんですね。
そのような場合には、園で手が出てしまっていることをお伝えします。
先生と話し合って、園と同じ方法で子供にいけないことだと伝えていきましょう。
また、同じ子に対し繰り返し手を出してしまい、相手の保護者から名前を聞かれて伝えた場合、手を出した側のお家の人にも園での様子をお伝えすることになっています。
未然に防ぎきれなかった園側の責任ではあるのですが、相手の保護者がご立腹の場合には、お家の人からの謝罪が必要になる場合があるのも事実。
園からそのような説明があった場合には、指示に従いましょう。
基本的に噛みついたりひっかいたりしていても、お家の人には伝えません。
心配になってしまいますが、先生がきちんと対応してくれるので大丈夫ですよ。
しかし何度も繰り返してしまう場合には、例外として伝えられることもあります。その場合、家でもしっかりと対応する必要がありますので園からの指示に従いましょうね。
まとめ
保育園や幼稚園で過ごしていると、子供同士、噛んだ、噛まれた、ひっかいた、ひっかかれたと何らかのトラブルに巻き込まれることが多々あります。
言葉が未熟な分、お互い様でやりあってしまうことがほとんど。
先生たちもその機会を無駄にせず、日々成長につなげられるよう、目を配りながら保育をしています。
親からするとまだまだ小さな子供達。
どうしても園での様子も知りたくなってしまいますが、そこはグッと我慢して、先生たちに任せてみましょう。
どうしても心配なことがあるなら、もちろん園に相談しても大丈夫。
しかしお家の人から離れて、保育園、幼稚園という小さな社会に一歩踏み出した子供たちを見守ってあげるのもお家の人の大切な役割です。
一番近くで子供を支えつつ、これからの成長に期待していきましょう。
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