子供がいよいよ幼稚園に入園。
となると心配なのが「うちの子やっていけるかしら」ということですね。
- おむつが外れてない…
- 好き嫌いが激しい…
- 入園前にできることってなんだらう…
心配なことを挙げたらきりがないかもしれません。
幼稚園の先生を10年やっていたわたしからすると、
「大抵のことは大丈夫!」なのですが…、残念ながら大丈夫と言えない場合があるのも事実。
それはどんな場合なのか、どんな準備をすればいいのか、今回は具体的なお話を交えつつ、入園前に家庭でできる準備についてお話しします。
集団生活で困らないための準備とは…?
集団生活を始める前にするべき大切な準備とは、子供に様々なことを経験させておくことです。
大抵のお家の人は「なんでも一人でできるようにしなくては」と慌ててしまいます。もちろん生活面で食事もトイレも自立しているのであればそれに越したことはありません。
しかし、それよりもまず子供自身の力で簡単にできる体験をたくさんさせてあげることが大切です。
例えば、
- 「たくさん歩く」
- 「外で遊ぶ」
- 「友達と関わる」
などです。
園は子供にとって初めての自立の場。
今まではお家の人が近くで見守り、困っているときには手出しができましたが入園したらそうはいきません。
先生がいるとはいえ一人で頑張る場面も増えてきます。
経験不足だとみんなのペースに馴染めずに戸惑ってしまうことも。
入園前の面談では、おむつの心配や食事面の心配をされるお家の人がほとんど。
しかし実は、生活面については入園してからも指導してもらえるので最低限できていれば大丈夫。
それよりもまずは子供の遊びの基礎となる身近な場面での経験が重要なんですよ。
それでは具体的にどんな経験が必要なのでしょうか?次の項目でくわしく説明していきます。
どんな経験が必要?経験不足の場合の具体例も
具体的に必要な主な経験は以下の4つ。
- できた!の達成感を感じる経験
- なるべく自分の足で歩く経験
- 寒さの中で遊ぶ経験
- 集団での絵本の読み聞かせの経験
これらに加え、子供が自信を持って園での生活を送れるように何が必要かをお家の人が見極め、そのことに対する経験させてあげると良いでしょう。
例えば、階段の上り下りが苦手な子。
家庭では思わず抱っこしてしまうかもしれませんが、園では抱っこはしてもらえません。
自分でどうにかするしかないんですね。
このように子供が一人になったときに不安になりそうなことを思い浮かべ、練習させてあげるといいですね。
それでは、実際にわたしが先生をしていたときに直面した経験不足の子供の例をあげていきます。
一人でできた!の経験がなかったAくん
何をするにも自信がなさげなAくん。
製作の時間もすぐに先生に「やって!ぼくできないの!」と諦めてしまいます。
しばらくは補助の先生がついていないと一人で製作をすることができませんでした。
お家の人に相談すると、
「家では不器用なAを見ていられず、なんでもやってあげてしまっていた」
・・・とのこと。
自分でやり遂げた喜びを経験することで、「次も自分でやってみよう!」という気持ちが育まれます。
家庭でも、お家の人がなんでも手出しするのではなく、簡単なことでも「一人でできた!」という場面を作ってあげられるといいですね。
お散歩が大嫌いなBちゃん
お散歩の時間、他の子はにこにこ楽しそうに歩いている中、Bちゃんはシクシク泣いています。
理由を聞くと、「疲れた」と。。。
まだ園から50メートルほどしか離れていません。
実はBちゃんは幼稚園の入園式にもベビーカーで来ていました。
少し異例な様子だったので、お家の人に理由を聞いたところ「ウロチョロされるのが危ないから」とのこと。
道路でのルールも教えてもらわなければわかりませんよね。
普段から歩く習慣がないBちゃんにとっては、楽しいお散歩の時間が苦痛になってしまいました。
入園前にたくさん歩く経験をして、道路でのマナーを学んだり体力をつけることも大切です。
意外と多い!寒さに耐えられない子供達
よく「子供は風の子」と言いますよね。
しかし、冬の寒い時期はお家の中ばかりで遊んでいたのに、入園したからといっていきなり風の子になれるわけではありません。
寒さも経験がなければ耐えられなくなってしまいます。
寒さに耐性がない子供は年々増えています。
寒さの経験がある子供が元気に園庭を走り回る中、経験不足の子供達は必ずと言っていいほど隅っこで震えながら泣いています。
寒い時期にも外に出て「体を動かせば暖かくなる」ということを学ぶことが大切ですね。
先生のお話し中も座っていられないCくん
入園したての頃は、ほぼ全員が座っていられないもの。
しかし経験の差はわりとすぐに見えてきます。
児童館や図書館などで絵本の読み聞かせなど、周りの子供と一緒にお話を聞くようなイベントに参加した経験のある子供は、一週間も経てば環境に慣れ、座ってお話を聞くことができるようになってきます。
しかし、全く経験のなかったCくんは、教室内を走り回ったり先生の読む絵本の真ん前に立ち周りの子が見えなくなってしまったりと、なかなか慣れることができず、しばらく補助先生がつくことになりました。
入園すればいずれは慣れるので焦りすぎる必要はありませんが、1回でも集団でお話しを聞く場面を経験していれば、本人も「座って話を聞く」ということが理解しやすくなります。
イベントなどに積極的に参加しておくのがオススメです。
どんな子が経験不足に陥りやすい? 影響はあるの?
心配なのは、入園前にほとんど家で過ごしていた子や、人との関わりが全くなかった子。
下の子の都合やお家の人の体調などで仕方のない場合もありますが、お家の人が引きこもりがちな家庭のお子さんは経験不足になりやすいです。
経験不足の場合、友達との関わりや遊びのルール、運動面でも影響が出る可能性があります。
極端な話ですが、入園前に全く人との関わりがなかった子が、落ち着きがなく、友達とうまく関われず、活動もままなりませんでした。
その結果、職員会議で発達の遅延を疑われ、専門機関への相談を勧められた例がありました。
結局、専門機関では発達の遅延ではなく経験不足と判断されました。
それほど、子供の成長には様々な経験をすることが大切なんですね。
入園してからの経験でも補うことはできますが、短期間で色々なことを吸収しなければいけないので子供にとって大きな負担になります。
できれば入園前にお家の人とたくさんのことに触れておいて欲しいですね。
入園前にお家の中ばかりで過ごしていた子は経験不足に陥りやすく、少なからず成長に影響が出る場合があります。
家事育児と忙しいですが、合間を縫って子供と外の世界に出かけることが成長につながりますよ。
まとめ
子供に色々なことを経験させるのは難しいようで実は簡単なこと。
今回の記事を読んで「あれ? うちの子、こんなところが経験不足かもしれない」と思い当たる節があれば、今からでもそのことについて取り組んでみてください。
決して遅すぎるということはありません。
近所をお散歩するだけでも子供にとっては大きな経験です。
学ぶことはたくさんあります。
そして、その経験が子供の自信となって、園での生活がより充実することでしょう。
難しく考えずに、子供と一緒に入園に向けて楽しむつもりで準備して行ってくださいね。
コメント